フットピーポーよ、W杯が、W杯がついに終わっちゃったよ〜!グループリーグ終盤には寝不足から「W杯に殺される」と思っていたけど、それもいい思い出。虚無感と興奮の余韻が漂う、祭りの後がやってきちゃいました。
どちらかと言うと興奮の余韻が上回っている僕としては、このファイナルのレビューはとんでもなく長文になる予感が書き始めて数行ですでに漂っています。そんな訳で今回は過去最大の長文になる事を覚悟してこの後を読んでください(笑)
そんな祭りのトリ、決勝戦オランダ×スペイン。この1戦を思うにいつもサッカー、いやスポーツを観ているときに湧き上がる疑問「やっぱり神って存在するんじゃないか」にまたしても襲われました。
今大会、過去のFGOにも書きましたが戦術的トレンドとして争われてきたのが「攻撃サッカーvs破壊的サッカー」だったと思います。補足説明すると「破壊的サッカー(byオシム)」とはモウリーニョのインテルがCLで魅せつけた「守備的サッカー」の進化バージョン。ただ守るのでなく、能動的に相手のストロングポイントを「破壊」する事に主眼を置いたサッカーです。
今大会では「破壊的サッカー」を実践するチームの躍進が目立ちました。筆頭がブラジルです。他にもウルグアイ、パラグアイ、ガーナと同タイプのチームの躍進が目立ちました。それもそのはず、「破壊的サッカー」は「攻撃的サッカー」と比べると実行が安易。言い換えれば「現実的」なサッカーです。
一方のリスキーな「攻撃サッカー」は構築するのが大変。特別な選手、特別な監督、国民性、メンタリティー、諦める要素をあげたらキリがないほどです。だから必然とクラブサッカーよりもW杯という重い大会になるとその姿は激減してしまう訳です。
今大会で言えばスペイン、チリ、メキシコ、アルゼンチンぐらいでしょうか。韓国も加えてもいいかもしれません。しかしリスキーな「攻撃サッカー」チームは早々に舞台を後にしました。ここまで軍配は「破壊的サッカー」に上がりかけていた訳です。
そんな大会の決勝が「攻撃サッカー」の筆頭スペインと、「破壊的サッカー」の生き残りオランダになる。W杯勝者として審判が下る。「神の配剤」を感じちゃいますよね。
全世界が注目する決勝の前日会見。「攻撃サッカー」代表スペインのシャビは言い放ちました「決勝だからといってやり方は一切変えない。例え負けたとしてもスペインは理想とともに死ぬ覚悟はできている」。なんて素敵な台詞なんでしょうか。
一方、オランダのスナイデルは「内容的に評価されても勝たなければ意味が無い。どんなに酷い内容でも勝利を目指す」とコメント。舞台は完璧な形でその決着をつけるべく、整った訳です。
そして迎えた決勝。宣言どおりはたしてスペインはスペイン、オランダは今大会の「時計仕掛けのオレンジ」に徹しました。
スペインはセミファイナルでヒットした「バルセロナブロック」が高速でパスを回し翻弄。対するオランダはガッチリとバイタルにブロックを形成し、素早くロッベンのカウンターに繋げる。2つのチームの時間帯が揺れ動く、緊張度の高いまさに決勝に相応しい好ゲームでしたね。
なんと言っても触れなければいけないのがロッベンです。オランダの危険な形はほぼ全てロッベンがらみと言っても過言ではありません。スペインはオランダ最警戒選手として常に3人を当てましたが、それでも決定的なチャンスを2度作られました。
スペインではその決定的なロッベンのチャンスを2度に渡ってビッグセーブしたカシージャスが素晴らしかった。僕はあのカシージャスのセーブした後のまったくそれが当然かのような態度。「俺が誰だと思ってるんだ、こんなセーブ当たり前だ」的なあの態度に痺れます。味方が安心して前を向けるGKとはまさに彼。ロッベンのチャンス以外にもスナイダーの強烈な無回転ミドルは難なくキャッチするなど、この試合での僕的MOMはカシージャスです。
決定的だったのは後半に「バルセロナブロック」を崩してでもオランダの右サイドを狙ったナバスの投入だったと見ます。デル・ボスケの采配はピタリ。鉄壁のオランダはナバスの右サイドから蝕まれだします。
マルバイクも対抗手段としてナバスの背後にエリア、最終的にはなりふり構わずキャプテンのジオを下げ、ブラルースを投入。しかしそれでもセビージャの天才ドリブラーを止めることはできても、その脅威を防ぐ事にはいたらず。同じく後半投入のセスクが輝いたのも、ナバスが右サイドに張って中央にスペースが生まれていたためです。
さらにオランダは前半から受け続けてきた警告という不安がついに退場につながってしまいます。しかもあろうことか一番の泣き所センターバックが1人消えてしまいます。
そして最後はそのDFラインの数的不利がモロに出て、1人余ったイニエスタがまったくのフリーでボレーをゴールに突き刺して決着。見事に「理想」が「現実」に勝利するという美しいエンディングを迎えました。
このスペイン勝利には重大な価値があると思います。それは「理想をかかげそして結果を出した」という事です。
確かにW杯は、試合は「結果」だという考え方もあるでしょう。ただしこのフットボールというスポーツほど「結果」が等しく優れたチームに与えられないスポーツは無いと思います。
「ドリームチーム」と形容された最強のブラジル(アトランタ五輪)が日本に負ける事が起きるし、ギリシャがユーロを制する事も起きる。そのカオスな魅力がフットボールの魅力でもある訳です。
そう考えるとこのスポーツほど「結果至上主義」がナンセンスな競技もありません。それが故にスペインの「理想と結果の両立」はただの勝利じゃない大きな価値があると言いたくなります。
スペインが今大会を通じてフットボール界に投げかけてきたメッセージ。それはまさしく「たとえ負けようと理想と死ね」だったと思います。
言い換えれば「IMPOSSIBLE IS NOTHING」。誰が10年前にロマンティックなスペインがW杯を制すると思えたか。ただスペイン人は信じ続けた訳です。「俺たちの理想は間違ってな い」、と。
はたしてフットボール界はこのメッセージにどう応えていくんでしょうか。僕には目の前の勝敗よりも、自らの理想を掲げ、挑戦し続ける意味を、意義を教えてもらったW杯でした。あらためて胸に「IMPOSSIBLE IS NOTHING」を刻みたいと思います。
それはスペイン人だからできた、とかじゃなく、「理想と死ぬ」という生き様の方が例えうまくいかなかったとしても後悔しない唯一の方法なんだ、と。スペインという「理想主義者」の勝利に大喝采を、南ア大会の美しいエンディングを僕は一生忘れません。
さあ、フットボールは前へ進みます。はたしてどんな姿を魅せてくれるのか。フットボールジャンキーとしては同じく前へ進みたいと思います、では! |