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同い年のヒデが第二の人生に向けて歩き出したというのに、まだ第一の人生すら見えないズラタンです、ボナセ〜ラ〜。さて現時点で生き残ったドイツ、ポルトガル、イタリア、フランスのチーム分析シリーズ第二弾、前回はドイツ、ポルトガルをやりましたので、今回はもうここまでで充分に映画化されるようなミラクルストーリーのフランスと、そして我がアッズーリ、イタリアのチーム分析から、決勝戦の展望までいっちょやってみましょう!
それではフランスから。いや〜グループリーグでの戦いぶりを観ていて、まさかフランスが決勝まで残るなんて予想した人、いるんでしょうか?(
ドライブのカズ君はトトカルチョでまんまと決勝イタリアvsフランスを読み切って、もうかったもうかったと言ってました。スゲーな)初戦のスイス戦を観た時に「ああ、またフランス予選で消えちゃうかも」って思ったんですが、その後なんとかのらりくらりとグループリーグをギリギリ2位で通過。それでも決勝トーナメント1回戦スペイン戦の下馬評は8:2ぐらいで「スペイン有利」というところでした。んがしかし!
このスペイン戦でバラバラだったチームが何とか1つの方向に向けて動き出し見事に勝利! そのままの勢いで何と絶対優勝候補のブラジルも撃破(俺的には今大会のベスト試合でした)、ついには決勝へと進出しちゃうんだから、いや、フットボールは本当にやってみなくちゃ分からないね〜。
今回のフランスでまず上げるべきはジュリの代わりに代表入りをして、当初は疑問視されていた若手リベリの活躍です。この選手はフリーランニングが素晴らしい。現在のフランスの攻撃を観ていると、ほとんどのシーンでリベリがからみます。パスが来ます。何故か?
それこそがヒデが再三言っていた「サッカーは走らなきゃサッカーにならない」というやつで、リベリはもの凄い運動量で常にパスコースを作って、もらえるポジションに、または味方がもらえるスペースを作る為に“走り続けて”ます。狭い範囲だったら他にもできる選手は多くいるけど、リベリの凄い所はそれをセンターラインからペナルティーエリアまで、右サイドをほぼ1人でカバーしてしまうんです。しかもそれを安定して90分間やり続けてしまう。実はリベリ、リーグアン(フランスリーグね)で、記者が選ぶ最優秀選手に今季選ばれていたりします。
そして「ベテラン復帰組」彼らの奮闘にも触れない訳にはいきません。ディフェンスラインに落ち着きをもたらすチュラムの貫禄。その経験から裏打ちされる読み、ヴィエラと形成するプレッシングの囲い込みからのボール奪取は世界屈指の硬度を見せるマケレレの存在感。そして、ピークはもう過ぎたはずなのに、あの時の、俺らがよく知っている、輝きをいま再び見せている、奇跡のマエストロ、ジネジーヌ・ジダン。
真骨頂は対ブラジル戦でしょう。開始いきなりエメルソンをシザースで抜いた時から思えばジズーはキテました。相対するDFが飛び込めない位置にピタリとボールが納められるトラップ。飛び込むと簡単にかわされ、だからといって持たせていると決定的なスルーパスを出されてしまい、観てるこちらにも相対している選手の「どうしよう」というのが伝わってくるあの間合い。もう触るだけでゴールするような、ゴールゲッターにとってプレゼントのような寸分の狂いも無いセットプレー時のプレースキック。さらに固くなる味方へ「この最高の瞬間を楽しもうぜ」と言わんばかりの見せ技「マルセイユルーレット」までこの日は飛び出した。フットボールを今まで観てきた中で、この日ほど観ていて泣きそうになった事は無い。ペレも、クライフも、マラドーナも、俺にとっては歴史であって、現実では無い。ただジネディーヌ・ジダンだけは同時代的に生きたからこそ、様々なシーンを目撃できて、この日はもうその極めつけみたいなもんで、やっぱり俺の永遠のアイドルはジズーだなと腹の底から思い、そして今季ジネディーヌ市川からズラタン市川に改名(字面が悪いし、呼びにくいもんで)した事を深く恥じました。
フランスの監督ドメネクは、ユース監督の経験を活かして、当初は思い切った世代交代を押し進めたんだけど、W杯欧州予選時に危機に直面して、最後にはジダン、マケレレ、テュラムらベテラン勢の力を借り、ベテランと若手の融合というチーム作りに路線を変更。W杯期間を通じ、そしてブラジルセン戦でチームは完全に1つにまとまった。加えてフランスは98年W杯、ユーロ2000決勝とイタリアに連勝中。ジズーの最終章は優勝だった、なんてマンガみたいな事もここまで来たらもう充分すぎるほどにあり得ます。
さてそんなドラマチックなフランスと決勝で対戦するのは、あんまり大きな声で言うと自慢してると思われるので、ささやかに書かせてもらいますが、自分が大会前から今回のアズーリはバランスがいい、バランスがいいと、ブラジル優勝の予想がひしめく中、最近もの凄い抜け毛でかなり貴重となってきたおのれの頭髪を友人とのトトカルチョで賭けてまで優勝予想に上げたイタリア! ブラ〜ヴォ〜オレ(俺)!
開幕前にイタリアを震撼させた八百長疑惑でメンタル的にどうなるかなと思ってたけど、「もう俺達はイタリアンサッカーの名誉回復の為にも優勝するしかない」
とピッポ、インザーギがコメントするように逆によいプレッシャーとなってチームを1つにまとめてます。とにかくバランスがいい。穴が無い。絶好調の指揮者ピルロに操られる攻撃陣に目を向けてみれば、トッティ、トーニ、ジラ、イアキンタ、ピッポ、デルピエーロと、控えを含め全選手がゴールをあげていて、中盤もトッティの忠実なしもべであるペロッタの運動量、リンギオ(闘犬)ガットゥーゾの献身、牧羊犬のようにちょこまかと走り続けるカモラネージ。そしてカテナチオの守護者カンバーロが筆頭になってゴールに鍵をかける守備陣も、ケガをしていたのが信じられないザンブロッタ、今大会でブレイクした可愛い顔のグロッソ、ネスタの負傷離脱というアクシデントに一度は暴発したものの、準決勝では安定した守備を観せたマテラッツィが、最新式の電子式錠前のようなモダンカテナチオを形成。たとえ守備陣を突破したとしても、ゴール前には最後の番人ブッフォンがボールを跳ね返してしまう。ここまでの失点わずかにオウンゴールの1点。いまだに相手チームから1点もとられていないもはや芸術とも思えるその守備。攻守にわたって高い水準を見せるイタリア決勝進出は驚きでもなんでもありません。
さらにそんな軍団を率いるのがセリエAでスクデット5回、チャンピオンズリーグ優勝1回、カルチョの歴史に名前を刻む希代の名将リッピなのだからもう書いていて恐ろしい。ここまで試合中に必ず3人の交代枠を使い切り、なんと控えの全選手(キーパーは除く)を出場させ、ドイツ戦ではイタリア人としては信じられない4トップまで敢行(結局その交代がポイントとなって勝利)、ベンチの全選手を動員して、3回の交代で3つのシステムを使い分ける事だって可能なリッピが、イタリアの力を完全に引き出している所も俺がイタリアを優勝候補に推した要因の1つです。
気がかりなのがここまで決定的なパスで勝利に貢献はしているものの、いまだ自らゴールを奪うようなプレーが少ないトッティ。いや、オーストラリア戦でのPKや、ウクライナ戦でのアシストとか今までの退場王子の事を考えれば充分やってるんだけどね。ただみんなが知っているトッティはこんなもんじゃないでしょう。個人的に気になるのがトッティがすっかりパッサーに変貌してしまった点で、俺のトッティ像は例えばヒデが在籍していた時の、ローマ優勝が決まった試合で鬼のようなボレーを叩きこんだイメージのトッティで、パッサーというよりもアタッカンテ、セカンドトップ的なトッティのイメージが強く、特にトーニとツートップで組む最近の試合ではもっとトッティ自らの攻撃に期待してたんだけどね。もっと「俺が、俺が」なエゴトッティを観たいな、と。ここまで充分勝利に貢献しているので少しわがままな要求かもしれないけど、W杯決勝のような異様な雰囲気の中でのガチガチの一発勝負の時なんか、昔のトッティみたいな「コイツなに考えてんだ?」的なぶっ飛んだプレーが無いと中々膠着状態を打破できないし、あのイカれた攻撃性をトッティには思わず期待しちゃうんだけどな〜。
さあ、やはり決勝戦という事で、この時点ですでに恐ろしい文量になってしまいましたが今回は気にしませんよ、まだ行きますよ!
そんな2チームが対決する決勝の展望いってみましょう! 読みやすいのはフランス、これまでと同じ4-2-3-1で同じメンバーでしょう。間違ってもアンリ、トレゼゲ2トップなんて男らしい事できません、あの監督は。一方イタリアは読めません!
ウクライナ戦から試しているトーニ、トッティの2トップも濃厚ですが、カモラネージがサスペンドで出場できない以上、中盤の構成を変更しなければいけません。アメリカ戦で三沢もビックリのエルボーをかまし、決勝まで出場停止処分だったデ・ロッシにリッピはかけてくるような気もしますし、ドイツ戦で動きの良かったジラルディーノを頭から使って3トップで来る事も予想されます。プラッシャーの強い決勝戦です、ここはもしかしたらベテランのデル・ピエーロ、インザーギの先発もあり得ます。何で来るのか、当日にならないと分からない、これはフランスにとってすごくイヤでしょう。対策を全パターンたてるなんて不可能だからね。もうフランスは自分たちのサッカーをイタリアにぶつけるしかありません。ベテランを中心にしっかりと守り、攻撃時にはリベリを効果的に使い、イタリア守備陣をかく乱させる。イタリア唯一の守備の不安は両サイドバックが攻め上がった際の背後のスペースで、特に攻撃参加が多いザンブロッタの背後、フランスから見て左サイドの深い場所、ここはアンリの大好物でもあるので、ジズーあたりがうまく使ってくるといくらイタリアと言えど綻びは生まれるはず。
ただそんな事はイタリアも百も承知、両サイドバックは攻撃参加を自重するはず。まずはしっかり守る。7人で守り、3人で攻めるカウンターサッカーを基調に、虎視眈々とカウンターチャンスを伺う、というのがどのようなメンバーになってもイタリアの基本戦術となるはずです。本来そんなサッカーでは勝ち上がれる事はできないんだけど、この国にはそのサッカーを成立させるタレントが存在します。どんな攻撃でも粘り強く耐え続けるディフェンス、ボールを預けられるや迷う事無く高精度のロングパス一発でゴール前までボールを運んでしまうピルロ、少ないチャンスを決めてしまう脅威の決定率を持つ前線のタレント達。まったく恐ろしく負けにくい国です。
決勝戦はもうジリジリするような消耗戦になるはずです。基本的にポゼッションはフランス。あえてボールを持たせカウンターを狙うイタリア。緊張感に満ちた戦いは90分で終わらない可能性が高い。そこで鍵となってくるのはベンチワークと予想します。いかに流れを変えていけるか?
相手を混乱させられるか? その点で見るとこれまでフォーメーションを変えるような交代ではなく、同タイプの選手を入れ替える交代にとどまるドメネクよりも、やはりリッピの方が一枚も二枚も上で、結果イタリア有利という予想が自分の中では立ちます。1-0、得意のウノ・ゼロでイタリアがユーロ2000決勝(この時もほぼイタリアは1-0で逃げ切る寸前だった)のリベンジをはたす、というのが一応の予想です。
論理的に考えればイタリア優勢、しかしフットボールは時として論理を超える瞬間が出現するスポーツです。自分がフットボールで好きな瞬間は何か?
と聞かれればやはりそういった論理、常識、日常が壊れる瞬間だと答えるでしょう。そして今、34歳という年齢にもかかわらず、自らの引退を賭け、往年の輝きを取り戻そうとしている常識の範疇を超えた選手が、決勝戦に出場します。彼は自らの最終章の内容が、自らのワンプレー、ワンプレーにかかっている事をとうに覚悟しています。正真正銘のラストダンス、キャリアの最後の試合で一体何をするのか。イタリアの鬼のようなディフェンスに穴を空け、そしてブッフォンを抜く。こんな論理外の事をしでかす“奇跡”が一番似合う男、ジネディーヌ・ジダンにだったら、俺は自分の予想を超えられても、逆に、心の底から喜べます。イタリアには優勝して欲しい。応援するのはイタリアです。でもジズー、お前だったら、許せる。その全プレーを目に焼き付けるから、アーレ、
ジズー!!!!
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