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「ズラタンのワールドカップ日記vol.6」 ( Text by ズラタン市川)

 いやはや、引退ですよヒデ。実は自分は昭和51年生まれ辰年、ヒデは52年生まれ蛇年だけど学年的にはタメ。ヒデの活躍を同世代の男として生暖かく見守り続けて来た身としては、今回の29歳で現役引退の決断に正直色々と考えさせられました。サッカーにしがみつくような男じゃない事は分かってたんだけど…早すぎるでしょう! ヒデ、フランス対ブラジルのジズーのプレーを観たのか? 34歳でも輝ける事を証明したあの試合。代表引退を撤回して、そして現役引退をかけて1戦1戦を最後と覚悟しながら戦うあの姿。まだできるぞ、ヒデ! なんかもっと後進にその経験を伝えてくれよとか、少なくとも2年後の五輪は行けるだろとか、最後はJリーグに戻って盛り上げてくれよとか、要求はめちゃくちゃあるけど、ねえ。決意は固いんでしょう。いやはや、日本のサッカーシーンにおいて1つの次代が終わりそうです。
 さて、そんなこんなんで、それでもW杯は前に進みます。という訳で準決勝第1試合、ドイツvsイタリアのレビューを行きます。勝った方は決勝、負けた方は3位決定戦に進む準決勝。過去のW杯を観てみると、やっぱりお互いの長所を消し合うようなクローズな展開が多いです。今回のこの勝負も恐らくジリジリするような消耗戦の展開が色濃く予想されます。
 ドイツはここまで開催国としてその責任を充分はたす活躍で勝ち上がって来ました。思い切った世代交代を押し進め、さらに重心を前に傾けたクリンスマンのチーム作りはここまで成功と呼んでいい結果を残して来ました。両サイドからのワイド攻撃を絶好調W杯男クローゼが決めるというのがこれまでのパターンで、さらにそこへバラックが絡み、ゲルマン大観衆の応援を後押しとした攻撃的なサッカーが特徴。勝てば決勝という事もあって、この準決勝さらに大声援がチームには注がれる事でしょう。しかし、それが実は危ないのでは?
 対するイタリアはカウンターが世界で一番うまい国。もうカウンターサッカーがそのDNAに刻まれているような国。今大会も「非常に攻撃的なアズーリ」なんて評価でしたが、フタを開けてみたらいやいやカテナチオ! やはりその国の伝統は簡単には消えません。特にカンナバーロはここまでほぼパーフェクトの出来で、抜群の安定感をもたらしてる。実際イタリアの失点はここまでたったの1点。しかもそれはオウンゴールなので今大会イタリアはまだ敵チームに1点も取られていないのですよ!(屁理屈) 何が言いたいかというとイタリアはしっかりと攻撃を受け止める事ができるチームだと言う事。仮にドイツが立ち上がりから攻撃をしかけるとしましょう、ブラジルのような攻撃力であればイタリアをずっと自エリアに張り付かせる事もできるでしょう、しかし、一度中盤なんかでガットゥーゾあたりにボールをかっさわれたら大変、まるでゴルフのアプローチショットのような精度でピルロから決定的なパスが、大会前からしきりに指摘、心配されていた若いDF陣目がけて繰り出されます。そこにはウクライナ戦でドッピエッタのトーニ、そして徐々にコンディションが上向いてきた王子トッティがいるんですよ。おそらくウクライナ戦で機能していた4-4-2(トーニワントップ、トッティセカンドトップ)でイタリアは立ち上がるはず。序盤は若いドイツをのらりくらりとかわし、カウンターのチャンスを虎視眈々と狙って…ドン! みたいなね。
 ドイツのキーポイントは中盤でしょう。バラック、シュナイダー、シュバインシュタイガーは攻撃色が強く、それを背後でカバーするのが8番のフリンクスで、イタリアの司令塔ピルロとマッチアップする関係。このフリンクスの運動量がポイントとなるはず。イタリアはどうしても攻撃に人が避けない展開となるので、カウンター要員のトーニ、そしてここまで有効なパスは出せるものの、まだ自らゴールを強襲するプレイを見せていないトッティの出来しだい。ピルロのパスに飛び出すトーニ、DFを引きつけてのポストプレイからトッティに戻した瞬間に凍り付くスタジアム、そしてドイツ人を青冷めさせる矢のようなシュート…ここまでイタリア国内で「10番に相応しくない」との評価をされているトッティ。それだけに不気味なローマの王子から目を離すな!

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