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「ズラタンのワールドカップ日記vol.5」 ( Text by ズラタン市川)

 さあ、前回はドイツvsアルゼンチン、イタリアvsウクライナのプレビューをお届けしましたが、なんて何か前回とタイムラグがあるかのような書き出しですが、実は連続で掲載すると視力が一気に0.5ぐらい落ちるかのようなアホみたいな長文になってしまう為、あえて分けてUPをお願いした次第でして、〆切をクリアした事を良い事に、今日はまったく仕事もせずにひたすらフットボールの事を考えているズラタン市川です、あいさつ長くてスンマセン。
 今回は残りのベスト8、イングランドvsポルトガルと、出ましたね、来ましたね、98年決勝の再来、フランスvsブラジルのプレビューをやっちゃいます!
 まずはイングランドvsポルトガルからですが、いっや〜ポルトガルvsオランダ荒れ荒れでしたね〜。あれは審判も悪いぞ、カードを出す事で選手をコントロールするどころかどんどんテンパらせていって、ファンバステンなんか「審判に試合を壊された」ってメチャご立腹だったからね。ポルトガルはそこでコスチーニャ、デコ、という攻守に渡って重要な選手をサスペンドで失う事になって、将棋で言えば飛車角落ちの状態でイングランド戦を迎える事になっちゃいました。さらに、自慢のC・ロナウドも壊され、万事休す。フェリペが一昔前の非商業主義なアーティスト集団的チームから戦う集団に変え、下手したらベスト4あたり狙える好チームに仕上げていただけに…もったいない! 
 現在のイングランドはオーウェンの負傷離脱というアクシデントはあったものの、徐々にチームが組み上がって来て、計算できる守備をベースに、中盤のタレントを生かした攻撃と、ルーニーもだんだんとコンディションを上げてきて、さらに絶対の自信を持つセットプレーからの得点力を武器としたいい感じになってきてて、イングランド好きのペニー桜井氏が調子に乗るのもうなずける。ここの勝負はベストメンバー同士の対決が観たかったな〜。
 鍵は中盤の攻防でしょう。それだけにデコ、コスチーニャのサスペンドが非常に痛いけど、ただポルトガルには今大会キレキレオヤジ集団(ネドベド、ジダンら)の一員フィーゴがいます。コスチーニャの代役はチアゴ、そしてデコが担っていたトップ下を恐らくフィーゴが勤めそうな布陣(代わりに左右はシモン、C・ロナウドか?)なので、このキレキレオヤジにかかる期待は大きい。テリー、ファーディナンドのコンビって、実は横の揺さぶりに弱い所があるので、フィーゴ、シモンあたりのドリブル突破、有効だと思うんだけどなー。でも普通にイングランドだろうなー、ペニーの喜ぶ姿が目に浮かぶよ。
 一方ズラタン、いやあえてここでは旧名の方を名乗らせてもらうがジネディーヌ市川的にベスト8で一番注目の試合がフランス対ブラジルのこの一戦! いや〜みなさん観ましたか?フランス対スペイン戦! 何ですかジズーの運動量? 34歳ですよ? 普段は優雅にトラップしてパスを散らす貴族階級のジズーが、思いっきりブルーカラーな質より量的な動きをしているだけで俺は泣きそうになりましたよ。特に後半のビエラのゴール後、総攻撃に出たスペインに対して全力でカバーに回るジズー…。「ああ、ジズーは引退前にブルーのユニフォームを来て1試合でも多く試合がしたいんだな」と思うと、もう、ね。それでそんな全力を出し尽くそうとしているジズーにカウンターのチャンスが訪れて、最後はプジョルを振り切って(戻りながらの守備なのでしゃーない)ゴール。テレ屋だから派手なパフォマンスは無かったけど「THIS IS 男の花道」的な勝利に、やっぱ神っているかもしれんなーと思っちゃいました。そんなフランスが、ついに一度も全開になることなくここまで来たブラジルと当たるのだから面白い。
 実はブラジルってフランスと相性が悪い。過去のW杯でもけっこうヤラれてる。中でも今も代表に残る多くのメンバーが経験した「サン・ドニの惨敗」の記憶はまだまだ鮮明なはず。ちょっと今までのように勝負時以外は流して勝つ省エネサッカー、クールビズサッカーではフランスは手に余る存在だと思う。この試合で未知数であるブラジルの底力がついに判明するのかな、と。カナリアが猛禽類に化す1試合になり得るな、と。
 正直、全開になったブラジルを相手にフランスがどこまでやれるのかと言われれば、監督がチキンだし、まだまだチームとしてまとまってないフランスの分の悪さは否めません。でも、スペイン戦でのジズーの動きが俺に囁くんです「フットボールは何が起こるか分からないぞ」と。スペイン戦後、これまで散々不仲説を言われ続けたアンリとジズーが心の底から笑いあって抱き合って喜んでいましたね。あの試合のジズーの運動量は、観客であるオレらよりも確実にチームメイトの心に響いてるはず。「ジズーがあんなに動いているんだ、俺だってやってやるぜ」そんなチームメイトのモチベーションを上げるジズーのプレイを観ていると、何やかんや言い訳めいた事いって、結局はW杯で何もできなかった某日本人選手よりも、言いたい事は全て言ったけど、その代わり試合終了とともにピッチにぶっ倒れるまで全力を出し切ったヒデを思い出す。もし、フランス代表が日本のようにヒデを孤立させるのでは無く、ジズーのラストダンスの為に、さらに言うならジズーを超えてその先に行こうという意思があるなら、この勝負本当に分からないと思う。
 なんか故・橋本の「負けたら即引退スペシャル」的ですが、負けたら即、それが現役最後のプレーとなっちゃうんだからね。「昔な、ジネディーヌ・ジダンという凄い選手がおってな」なんて孫に語り継ぐ為にも、この世代に生きてるフットボールファンにとってはフランスvsブラジルの一戦を観戦する事はもはや義務ッスよ。そして現役の最後に史上最強と呼び声の高いブラジルとやれるなんてジズーは幸せもんだなとも思う。ましてやそこでジズーのゴールかなんかで勝っちゃおうもんなら…俺はぶっ壊れるでしょう! 神よ、ジズーに栄光を! あちゃーもうプレビューじゃないな、これ。

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