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「ズラタンのワールドカップ日記vol.3」 ( Text by ズラタン市川)

 日本vsクロアチア  

 さて、まずは両チームの第1節の戦いぶりを振り返ってみよう。まずはクロアチアからなんだけど、いやいや、ブラジル戦を観てどうやら俺はこのチームに希望的観測を含めて過小評価を下していた事に気がつかされましたよ。いや〜強い! ブラジルが決勝までの7戦を視野に入れたコンディショニングをしている、つまり予選は流しているというのを考慮したとしても、クロアチは非常に好チームに仕上がっているなという印象が強く残った。まず上げたいのが守備に回った際のボール奪取までのオートマティズム。連続性のあるプレスがかなり有効に、そして90分に渡って繰り広げられ“あの”カルテット・マジコが無力化されてましたね〜。失点のシーンも決してクロアチアの守備は崩されていた訳じゃ無かった。あれはカカを褒めるべき。ディフェンスに関しては前評判以上の固さで間違いなくF組最高度の守備のレベル。はたしてカルテット・マジコの後に彼等DF陣にとって、日本の攻撃陣がどのように見えるのか、ちょっと想像したくないな。
 それでも守備が堅いというのは前評判通りとして、驚いたのはこのチームがただのカウンターチームだけじゃ無かったという点で、特に左サイド、攻撃時に左サイドに再三流れては起点になっていたプルソと、脅威の上下動を繰り返し、プルソをサポート&自らも左サイドを占拠していたバビッチのコンビネーションは非常に危険。カフーは途中から完全に自陣に封じ込まれていたよね。日本から見て右サイド。負傷明けの加持、福西がいかにしてこの左サイドアタックに対処できるかがポイントとなるはず。
 いずれにせよ、クロアチアはタコ守りしてどうにか1失点という内容じゃなく、ブラジルと真っ正面から戦ってキャプテンN・コバチの途中交代もあっての0-1の敗戦。内容、決定機の数、おそらく引き分けが妥当な結果だったと俺は見てます。間違いなく手強い敵として後の無い日本の前に立ちふさがるはず。
 一方、我が日本は…正直良い所が1つも無かった…。前半、寿司ボンバーがボカ仕込みのマリーシアをキーパーに炸裂させて先制(あれは運じゃない、寿司ボンバーの手柄)するという最高の展開を生かせなかっただけでなく、下手したらチームが崩壊しかねない酷い負け方。80年代の守備哲学「リトリートディフェンス」の敗北。昔は日本の伝統だった運動量の低下。連動性、連続性がまるでないのでどうしても散発的になるオフェンス。そしてあまりにも“人間”だった“神様”と、その異名通りだった“魔術師”の指揮官としての力量差。ぶっちゃけ振り返れば振り返るほど、オースラリアよりもはるかに手強いクロアチアに勝てる気がしない…。だた、それだけに
 ギャンブルをするなら今しかない!
 今のジーコジャパンの正攻法では上にあげた問題点を克服できない。坪井の離脱により、どうやらジーコはクロアチア戦を4-4-2で望むようだ。3-5-2よりも(実質5-3-2だから)1人中盤の選手が増えるこのシステムで、もっと前でサッカーをする完全ポゼッションサッカー。これしかむ活路は無い気がする。リアクションサッカーができるほど、守備力が、守備の方法論が無いジーコジャパン。どうせなら本当はやりたかったのに、安定性の為に諦めてしまった当初の理想に、是非チャレンジしてもらいたい。
 おそらく小笠原でジーコは立ち上がるつもりだろう。だがどうせギャンブルなら有り金全てを小野にブチ込んで欲しい。これは精神論ではなく、実は物議を醸し出しているオーストラリア戦での小野の投入は、おそらく中盤を厚くして、ポゼッションでマイボールの時間を増やして残りの時間を凌ごうという狙いで、例えば守備的な選手を入れて、守り切ろうという方向よりも、ジーコのサッカーにおいては論理的な選択だったと俺は見ている。ただ賛同できるのは“選択”だけで、交代した“タイミング”はとっくにポゼッションができるような状況では無く、せめて後10分早く動いて欲しかった。今回は頭からそれを指向して欲しい。前で、ポゼッションで、マイボールにしながら攻撃をかわしつつ、チャンスを創ってゆくサッカー。あまりに理想すぎて、信じられないサッカー。でも今のメンバーで勝つにはそれを具現化するしかない。だったらここは安定性よりも天才の閃きに賭けて欲しい。
 日本のこれまでの勝機はしっかりとしたディフェンスで、少ないチャンスをものにするという方法論だった。いわゆるリアクションサッカーで、その1つのピークが2002年のベスト16という結果だった。しかし、それではベスト16が精一杯、それよりも上を目指すため、自らアクションを起こして膠着状態を打破する力を日本人は望んだ。その流れで生まれたのがジーコジャパンだったはず。就任から4年、結果を重視するあまり、はたして本当にその事を追求してきたかと言えば、それを本当に信じて、具現化しようとしたのって、結局日本人の中では中田英寿しかいなかったのではないか。ジーコは、選ばれた選手は、ワールドカップ本大会でポゼッションサッカーにチャレンジして欲しい。このままでは監督が選んだ選手と、やってるサッカーが真逆のチグハグなチームで終わる可能性が高い。開き直れ、自分を信じろ、そして勇気を。かつて欧米人が畏怖した「スーサイド・アタック」の精神で、死中に活点3を拾ってきて欲しい。
 どうせなら理想と一緒に死のうぜ日本人!

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